タバコの香り。
昔。
アタシがタバコを嗜(たしな)んでいた頃の話。
当時、付き合っていた彼は、タバコは吸わず、
タバコも、タバコを吸う人のことも毛嫌いしていた。
ある日、こんな言葉を吐かれたこともある。
「どんなに好きなオンナの唇でも、灰皿を舐めているのと同じだ」
そんな彼の一人暮らしの部屋は、
お世辞にも掃除が行き届いているとは云えず、
いつも、少しだけ、
饐(す)えた匂いがした。
あれから、彼とはお別れをし、
もう何年も会っていないけれど。
不思議だね。
今でも、日常の中で、あの酸っぱいような饐えた匂いに出会うと、
何だか、心がゆらゆらゆらゆら、揺れてしまうのだよ。
好きだったのか、
憎んでいたのか、
あるいは、その両方だったのか、
もう、覚えてはいないけれど。
本日のまこメシ。
子供の頃は、何故か、ガソリンの匂いが好きだった。
今は、とんかつ屋の匂いが大好きだ。
【金曜日。仕事終わりにすぐに食せるモノで乾杯なのだよの晩酌のまこメシ。】
・たこ焼き
・おいキムチ
・山芋と大葉の和え物
・冷やしトマト
・ビール
人は、匂いを嗅ぐだけで、
好きな人を思い出したり、
幸せな記憶を呼び戻せる生き物で。
だから、
そんな素敵な香りを、
たくさん見つけて、
優しく包まれて、
生きていければいいと願うのだよ。
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