勿論、恋なんかじゃないけれど。

なんでもない日常
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年下の綺麗な男性。


年下の綺麗な男性(ひと)を見ていた。


整った横顔と立ち姿の美しさに、
視線がそっと吸い寄せられてしまう。


丁寧な「お疲れさまでした」。
何かを受け取るたびに生まれる小さな「ありがとうございます」。


言葉の終わりに柔らかい余韻が残る。
アタシの心もポッと温かくなる。




勿論、恋なんかじゃないよ。
だけど、少しだけ、胸の奥が軋(きし)んでしまう。


あの人の時間は、これから広がっていく「空」で、
アタシの時間は、少しずつ色を深くする「海」だと知っているから。


だけど、ふとした笑顔に、「波打ち際」まで引き戻されて、
昔の自分を探してしまう時がある。




「綺麗だな」

胸の中で、そう呟いて、
アタシは今日も、年上の顔をして席に戻る。


誰にも気づかれないように、
そっとため息をつきながら。

本日のまこメシ。


今は、恋に走るよりも。


売り切れる前に、焼き魚定食に走る。


【ダッシュ!の本日のランチのまこメシ。】
・焼き鮭定食




今日も一日が静かに閉じていく。
また一日分、年齢を重ねた自分に、そっとため息をつきながら。


だけど、失ったものを数えるのを止めて、
ここまで運んできたものを、そっと撫でてみる。


皺(しわ)になった迷いも、
くすんだ後悔も、


全部抱えたまま、
それでもまだ、


誰かの美しさに立ち止まれる自分がいることが、
少しだけ誇らしい。




勿論、あの人に向ける視線は、恋なんかじゃないけれど、


これから出逢うかもしれない誰かに対して、
「勿論、恋なんかじゃない」と自分に言い聞かせて、諦める人生を送りたくはない。


時間の針は巻き戻せないけれど、
きっと、巻き戻す必要もないんだ。

年下の美しいあの人の綺麗な所作に負けないくらい、
アタシは、静かで凛とした動きを覚えているはずだから。


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