扉。
断捨離しようと思って、家中の扉を全部開けてみた。
クローゼットの扉を開けると、「いつか着るかも」の服たちが、
肩を落としながら、まだここにいてもいい理由を、喚(わめ)き散らしていた。
食器棚の扉を開けると、人数分をとうに超えた皿たちが、
もう訪れることのない過去の来客を、何度も招こうとしていた。
本棚の扉を開けると、途中までしか読んでいない本たちが、
栞(しおり)を胸に刺したまま、「次はいつ?」と伏し目がちに聞いてきた。
引き出しという名の小さな扉をひとつずつ開けると、
心のどこかで気づかないふりをしてたモノたちが、一斉に溢れ出てきた。
断捨離ってさ。
ふと、「全部、見直したい」と思った瞬間に、突然、訪れる衝動のようなモノだな。
そして、不要なモノをただ捨てるだけじゃなく、
自分にとって本当に大切なモノや、価値のあるモノを選びとることでもあるんだ。
アタシに必要なモノは何?
アタシに不要なモノは何?

本日のまこメシ。
冷蔵庫の扉を開けた。
ここだけは、ぜんぶ必要だった。
【GW最後の日は少し丁寧に食べてみたのまこメシ。】
・炊き込みご飯
・わかめと豆腐の味噌汁
・かぼちゃ煮
・ほうれん草のお浸し
・カブの漬物
・ブラッドオレンジ

アタシは深呼吸をして自分に問いかけてみる。
これがなくてもアタシは困らない?
これはアタシを本当に幸せにしてくれる?
手放すモノには「今までありがとう」と小さくお礼を云って、
そっとゴミ箱の中へ移動させた。
何かを捨てるたびに、空いた隙間に爽やかな風が入り込み、
アタシの古い執着が吐き出されていくようだ。
最後にそっと、アタシの胸の一番奥の扉を開けてみる。
まだ、捨てきれない迷いが、少し残っているみたいだ。
だけど、そこにも同じ風が吹いてきて、
優しく通り過ぎていったから。
「全部じゃなくていいよ」
「今日の分だけでいいよ」
お陰で、アタシの心も軽くなり、
全ての扉を閉める頃には、アタシの部屋にも余白が出来た。
断捨離しようと思って、
家中の扉を全部開けてみたら、
通り抜ける風の道が出来て、
空気がゆっくりと混ざり合い、
過去と今とこれからが、
やっと繋がった気がした。

コメント