隣人の正体。
(前編は、こちら → 隣は何をする人ぞ。前編)
(中編は、こちら → 隣は何をする人ぞ。中編)
ピンポーン!
珍しく、部屋のチャイムが鳴り響く。
急に訪ねてくるような友人はいない。
恋人に至っては、云わずもがなである。
面倒くせぇ。
無視すっか?
どうせ、なんちゃらの勧誘だろう。
いや、待てよ。
オートロック付きのマンションに住んでいるのだが、
自室の玄関の前で、何かが蠢(うごめ)いているのを感じる。
「はい?」
恐る恐るインターホン越しに返事をしてみると、
正直、何を云っているのかよく分からない言葉が聞こえてきた。
「xxxxx。xxxxx。オミヤゲ。オミヤゲ」
あ、これは……。
玄関のドアを開けると、
先日、ゴミ捨て場を聞いてきた男性が、一人で立っていた。
手には、大事そうに、クッキーの袋を、ひとつ、抱えている。
「隣に、引っ越してきた○○○です。ヨロシクおねぐぁいします」
「これ、本当にチュマラナイものですが…」
なんだ。
いい子じゃないか。
本日のまこメシ。
日本人だって。
引越の挨拶には来んよ。
【善き隣人に乾杯の今宵のまこメシ。】
・寿司
・油揚げ焼き
・しし唐焼き
・日本酒(冷酒)
彼は、中国・北京から来た留学生。
清潔な風貌と、柔らかい話し方。
何となくだが、純朴そうに見える。
そうそう。
部屋には、一人で住むそうだ。
「もしや、大家族で1Kに住むの?」なんて、疑ってゴメン!
先日、玄関で、
ひょこり顔を出していた西郷隆盛みたいな人は、誰だか聞けなかったが、
正直、ホッとしているアタシがいた。
引越の季節。
隣人ガチャ。
巷(ちまた)では、中国人の隣人トラブルの話をよく耳にするけれど。
まずは、一括(ひとくく)りにするのは、止めておこう。
アタシだって、「日本人は〇〇〇だから」と決めつけられるのは、イヤだからな。
人類みな兄弟。
仲良くやっていこうじゃないか。
日中友好。
善き隣人であってくれたまえ。
高らかに祈ろうじゃないか。
平和こそが、生活の原点なのだから。
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