あの人は、人を殺すだろうか？
アタシは、混雑している郵便局が嫌いだ。
並んだり、待ったりするのが、イヤなわけじゃない。
忙しさのあまり、粗暴な態度をとる局員と対峙するのが、苦手なのだ。
だから、いつもは、空いている時間帯に訪れるのだが。
その日は、仕事の都合上、どうしても混雑している夕方に訪れる必要があり。
それでも窓口にはお世話にならぬよう、館内に設置してある、営業時間内なら誰もが自由に利用してよいポストに投函だけして帰ろうと思っていた。
が、ポスト内が溢れかえり、投函することさえ、出来ないのである。
夕方の郵便局は、誰もが忙しく飛び回り、騒然としていた。
怖いけど。
意を決して、近くにいた局員さん達に、出来るだけ優しい声音で、声をかけてみた。
「スミマセン。ポストが詰まって、投函できないのですが」
数人がチラとこちらを見たが、
誰一人、返事すらしてくれない。
すると、憤怒の表情をした一人の男が、荒々しくアタシに近づいてきた。
そして、大きな音をたて、ポスト内に詰まった書簡を取り除き始めたのだ。
ガシャ、ドン、バーン。
男は、アタシとは一切、目を合わせない。
言葉も、一言も発しない。
きっと、男は、アタシのことを煩いクレーマーだと思ったのだろうな。
でもね。
館内に設置してあるポストに対し、営業時間内、きちんと投函できるような状態にするのは、アナタ達の責務だと思うのだよ。
客にひれ伏す必要はないが。
忙しいからと云って、物や人の心に八つ当たりしてもいいなんて、まったく道理がたたないのである。
環境で人は変わるもの。
この男も、普段は、優しい人なのかもしれない。
忙しい「戦場」のような状態だったから、粗暴な態度をとったのかもしれないが。
だけど。
環境で人が簡単に変わるのであれば。
今、目の前にいる、この狂犬じみた男が、もし本物の「戦場」に送り込まれたとしたら、
この男は、平気で人を殺すのだろうか？
普段は優しいあの人も、人を殺すだろうか？
今宵のまこメシ。
何気ない人の言動で、心が荒（すさ）んでしまう日もあるよね。
そんな日は、チーズの幸せを注入。
赤ワインが、心に染みる。（涙）
【やっぱ混雑した郵便局は大嫌いなのよのまこメシ。】
・サツマイモとペンネのチーズソース
・トマトとモッツアレラチーズのサラダ
・ナッツ盛り合わせ
・赤ワイン
環境で人は変わるもの。
日々の生活が、自分自身を作り上げていく。
では、もし、アタシが戦争に送りこまれたら、人を殺すだろうか？
アナタは、人を殺すだろうか？
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