イマーシブミュージアム。
『鑑賞する絵画から、体感する絵画へ』
そんな謳い文句につられ、日本橋三井ホールにて開催中の「Immersive Museum(イマーシブミュージアム)」を来訪。
モネもドガもルノワールも、よー解らんくせに、美術展を訪れてみた。
東京では珍しく、朝から雷が鳴り響いていた平日の昼下がり。
わざわざ有給をとっての訪問だ。
テニスコート3面ほどの広さの体育館のような会場に足を踏み入れると、
床や壁面に、流れるような映像が投影されていた。
30分でワンセット。
終了すると、また、同じ内容が繰り返されるシステムだ。
申し訳ないが、正直に云おう。
普段、最新鋭の映画館に慣れているせいか、その画質の粗さと音楽の単調さに辟易(へきえき)した。
モネ君の事は、全く知らんが。
彼も、呆れているのではないだろうか?
しっかし。
空いていると高を括っていたが、結構な人、人、人。
推定150名くらい?
野鳥の会の皆さん、いかがでしょうか?
会場には、「人をダメにするソファ」みたいな椅子が、少しだけ無造作に並べられているが、大体、カップルが占拠している。
椅子からあぶれた寂しいオトナ達は、絵画そっちのけで、次の椅子取りゲームに必死だ。
なんだ。
アタシは、何を見せられているのだ?
画質の悪いルノワール?
中央のソファで、いつまでもイチャついてるカップル?
椅子取りゲームの勝者のドヤ顔?
そして、今、まさに見せられているのは。
四角い尻(しり)だ。
会場の隅にある箱椅子に座り、絵画を眺めていたら。
突如として、目の前に現れた、巨大な四角い尻、二つ。
他にも場所があるのだから、
可能な限り、人の前は立たないでいただきたい。(涙)
いや、違う。
人のせいにしてはいけない。
悪いのは、全て、このアタシだ。
たいして好きでもない美術展など、調子に乗って訪れたもんだから、
こんなことになっちまったんだ。
恥を忍んで打ち明けるならば、
「美術展を訪れた。とても有意義な時間が流れた」的な自分に酔いしれたかっただけなのだよ。
嗚呼。
目の前の四角い尻は、アタシへの罰だ。
今、アタシの目の前に広がっているのは、
モネでもドガでもルノワールでもなく、
四角い
醜い
はみ出し気味の
二つの尻。
尻だけが、今のアタシの視界の全てだ。
尻に出したチケット代は、2500円。
たいして好きでもないのに、美術展など訪れた自分を、
今、心から、猛烈に、
呪う。
本日のまこメシ。
他人の尻に出した2500円を取り戻すべく、
これからは、残飯整理に励むのだよ。
【朝飯、いや、もう昼だよの休日のまこメシ。】
・カリカリ梅とシソのおにぎり
・卵焼き
・ほうれん草のお浸し
・味噌汁(マルコメ即席)
2500円あったら、他に何が出来ただろう?
ご褒美ランチ?
ハーゲンダッツのミニカップ、1週間分?
青春18きっぷで、日本中、どこまでも?
いや。
死んだ子の年の数を数えるような事は、もう止めよう。
失った2500円も、成仏出来ないではないか?
それに。
本来、尻は「罰」ではない。
尻は、芸術品なのだよ。
だから。
自分も含め、
四角い尻を持つ哀れな人々を、戒(いまし)めよう。
己(おのれ)の尻(しり)を叩き上げ、
慈しみ、労わってやれ。
何気に訪れた美術館でも、
きっと誰かが、見ているぞ。
尻を。
大切に。
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