ダイエットに必要なモノ。
あの人は、アタシの務める会社の顧問会計士。
４０代後半くらいか？
少々ぽっちゃり気味のグルメな男性である。
が、最近、急に痩せて爽やかになった。
聞くと、健康診断を目前に、ダイエットをしたとのこと。
２か月でマイナス９キロ。
羨ましい。
そして、妬（ねた）ましい。
「てめぇ、何をやりやがった？」
「一体、いくらつぎ込んだ？」と、
胸ぐら掴んで詰問したい気持ちを何とか抑え、
作り笑顔で聞いてみた。
「え～、すごーい！ 何をされたんですか？」
「いやぁ、アレを買っただけですよ」
「アレ？」
「ほら、色々ついているアレですよ」
「ん？」
「アレに毎日乗るんです」
「え？」
「体重計です」
「体脂肪率や筋肉量とか分かる、ちょっといいヤツ、買ったんです」
「毎日、アレに同じ時間に乗るんです。そうすると、色々考えさせられて、気が付いたら、痩せてました」
本日のまこメシ。
おかしい。
アタシも、毎朝欠かさず、体重計に乗ってますけど。
【取り敢えず、炭水化物（米）は抜いてみたのだよの本日のまこメシ。】
・ハムカツ
・梨
・豆乳
ダイエットに必要なモノは、本当に体重計だけ？
あの人は、それ以上は、ただ微笑むだけで、教えてくれなかったけれど。
でもね、知ってるよ。
あの人は、仕事で一度決めたことは、妥協はしないんだ。
だから、ダイエットでも、
こうと決めたら、一点一画もゆるがせにしなかったのだろうと思うんだ。
ダイエットってさ。
勿論、運動や正しい食事制限も大切だけれど、
結局、自分自身の精神力が重要だと思うのだよ。
そう。
アタシには、強い精神力が足りないんだ。
アタシはアタシに負けているんだ。
ちょっと、ドヤ顔のあの人。
足取りまで軽くなり、肌もツルツルだ。
「く、悔しい……」
つい、絞り出てしまった。
間髪入れず、あの人は、ニヤリと嗤い、こう告げた。
「そう。その『悔しい』という気持ちが、一番大切です」
完敗。（白旗）
コメント