夕焼け。

なんでもない日常
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夕焼け。


昔、東京で一人暮らしを始めたばかりのアタシの部屋に、
突然、父が訪ねてきたことがある。

「オマエの家の近所を観光したい」


さて、どうしよう?
何処へ連れていこう?


父の趣味は、マラソンや山歩きだ。
人混みは嫌いで、行列には並べない性分である。


迷いに迷い、
由緒正しき神社を案内したり、
近所で評判のうどん屋さんへ連れて行ったりしてみたが。


表情一つ変えず、口下手な父は、
楽しんでくれているのか、よくわからないんだ。


夕刻が迫り、「そろそろ帰る」と腰を上げる父。
結局、父は喜んでくれたのだろうか?


寂しい気持ちで、通い慣れた商店街を二人で歩く。
東京の下町情緒が色濃く残り、
地域住民や観光客にも愛されている賑やかな商店街だ。


お父さん、人混み、嫌いだよね?
ごめんね。
今日は、混んでいるみたい。


雑踏を抜け、緩やかな階段を昇る。
父が、ふと立ち止まり、深呼吸する。
そこからは、美しい夕焼けに染まる東京の街並みを眺めることが出来るのだ。


「こういう場所、好きなんだ」

静かに、父が呟いた。

「いい場所で、安心したよ」




なんだ。

色々考えて、悩んだけれど。

結局、アタシが良くいく場所に、連れて行けば良かったんだね。




夕焼けで紅く染まる父の笑顔。

一生、忘れることはないだろう。



本日のまこメシ。


アタシの父は、


ちょっこり「泉谷しげる」に似ている。


【セロリの葉が余ると簡単カレーを作るのだよの本日のまこメシ。】
・ひき肉とセロリのカレー(野菜添え)
・マンゴー
・麦茶



アタシは、小さい頃から、母に似ていると云われ続けてきた。


だけど、母が亡くなり、
父と過ごす時間が増えたことで、
父からのDNAを強く受け継いでいると感じる瞬間が、すごく増えたんだ。




好きなモノが似ている。

喧嘩っ早いトコロが似ている。

涙もろいトコロが似ている。




嬉しいような、哀しいような。



いつか、きっと。

アタシも「泉谷しげる」に似るのかな?

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