父の認知症が始まった。#59

父
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自覚症状。


ところで父は、認知症と診断される前に、自覚症状はあったのだろうか?


ある日、父に聞いてみた。

「初めの頃、自分で何か変だなって思ったことあった?」


父は少し考えて、まるで天気の話でもするみたいに言った。

「そういえば、急にスキップが出来なくなったな」


スキップ?


その答えに、アタシは笑っていいのか、泣いていいのか、
ちょっと気持ちが忙しくなった。


だって、スキップなんて、
ふだん出来ても出来なくても、人生の大事件にならないもの。


だけど、父のその変化は、
確かに、何かの始まりを知らせていたに違いない。


脚が忘れてしまったのか。
脳が戸惑ったのか。


それとも心のどこかが、
昨日までの自分と、何かタイミングがズレてしまったのか。


昨日まで当たり前に出来ていたことが、
ある日、ふいに出来なくなる。


それはきっと、本人にしかわからない、


大きな違和感だったのだと思う。

本日のまこメシ。


この話を聞いた友人たちは。


みんなスキップをし始める。


【実家に帰り父と晩酌の本日のまこメシ。】
・刺身の盛り合わせ
・大根の煮物
・しじみ汁
・ゆず大根
・シャインマスカット
・日本酒(熱燗)



軽やかに跳ねるはずの脚が、急に戸惑って、いつもの自分に追いつけなくなる。
その不思議さを、父は、最初の自覚症状として覚えていた。


本人でも、周囲でもいい。
その「違和感」を見逃さないで欲しいんだ。




父が認知症と診断されてから、3年が経過した。
4年目に入った今も、有難いことに大きな波はまだ来ていない。


ホッとしている反面、不安も募る。
いつ「その日」が来るのかは分からない。


明日かもしれないし、
一生来ないかもしれない。


だけど、今はまだ、柔らかく笑っている父を見つめ、
アタシも一緒に笑ってみた。


跳ねるように進めない日があってもいい。
少しずつ、ゆっくり歩く日々でもいい。


スキップがなくなった分、
一歩一歩を大切に、
生きていけたらいいね。


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