第36柱 『理想の恋人の条件』

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理想の恋人の条件。


「で、どんな人がいいの?」

友人・桃子(仮名)が、興味津々な顔で尋ねてきた。
『最近、恋をしていない』まこのお悩み相談を兼ねた、休日のランチ・ミーティングである。


彼女は、高校時代からの親友で、タレントの菊池桃子さんに似た美女である。
(なので、このブログでは彼女を桃子と呼ばせていただく)
昔から、爆発的にモテ続けている桃子は、間違いなく、まこよりも恋愛経験値が高い。


え? んーと。
優しくて、誠実な人。
それから、ご飯を沢山食べる人がいいな。



前傾姿勢だった桃子が、ため息と共に、リクライニング状態にシフトする。

「まこ。そんなんじゃ、ダメよ。もっと具体的に10個あげなさい」

美しい指先でストローをつまみ、アイスコーヒーに沈む氷をじりじりと揺らした。



え? あ? わー!
具体的に10個って。
いや、正直、1個も出てこない。


桃子曰く、『優しい・誠実は、見る人によって変わるもの。そういう主観的な意見じゃなくて、身長何センチ以上とか、土日休みの人がいいとか、一緒にゴルフが出来る人とか、具体的に答えて欲しい』とのこと。


「ご飯を沢山食べる人って、茶碗3杯なの? それとも米1俵なの?」


ははぁー、桃子さま。
参りましたー。(土下座)

引き寄せの法則。


そう云えば、理想の恋人の条件って、今まで考えたこともなかったな。
恋って、何となく始まって、「理想なんて、二人でつくるもの」くらいに思ってたから。



「具体的なイメージが自分の中にないと、素敵な人と出逢っても、結構気づかず、スルーしちゃうわよ。そんなの勿体ないわ」

桃子が優しく窘(たしな)める。


「それに『引き寄せの法則』もあるの。こうだと決めてリストアップしておくと、結構、引き寄せるものよ」

潤んだ瞳。
悪戯っぽい表情で、ふふと笑う桃子。
さすが恋愛マスター。
本人は気づいていないだろうが、365日、恋愛戦闘態勢だ。



『引き寄せの法則』とは、叶えたい結果を具体的にイメージすることで、自然とそれに向け行動するようになり、理想の結果を引き寄せる事が出来る、という考えだ。
ポジティブな考えを抱けば、それを引き寄せるが、逆に、ネガティブな考えを抱けば、そちらを引き寄せてしまう。
その強い想いこそが、現実を創り上げてゆくのである。


だからこそ、まずは、「自分の望みは何か」をはっきりさせる必要がある。
そもそも自分は、どうしたいのだろうか?


結婚がしたいのか。
大恋愛がしたいのか。
あるいは、そのどちらも、望んでいないのか。



仕事は楽しいし。
大好きな女友達もいるし。
やっと自分で自分の面倒を見られるようになってきたばかりだし。


恋愛は、いつか、また、心が動いた時にすれば良いと思っていた。
結婚、出産は、素晴らしい体験だと思うが、今の自分には、どうもしっくりこない。
自分の望みすら、ぼんやりしている事に気付かされる。



自分の事ばかりに精一杯で、恋愛を後回しにしていた三十路女。
もしかして、ピンチ???

つづく

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