父の認知症が始まった。#42

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老衰。


「オレは老衰を目指す」

ある日、父が高らかに宣言した。
病気や事故ではなく、老衰で「寿命をまっとうする」のであれば本望だと。


「老衰」とは年齢を重ねるにつれて、心身の機能が徐々に衰えていく状態のこと。
近年、医療の発達により、老衰で亡くなる方の割合も増えているそうだ。





しっかし、父よ。
急にどうした?と思ったら。


ははん。
要は、無料の胃がん検診に行きたくないようだ。


胃カメラを鼻から入れるのがイヤなんだって。
昨年の検診では、特に異常もなかったので、もうやりたくないのだとさ。


父曰く、
今回の胃がん検診をさぼり、万が一、病気になってしまったとしても、
まぁ、すぐには死に至らないだろうし(←あくまでも本人の見解だが)、
それより先に、自分には「老衰」が訪れるに違いないと思っているようだ。




うーむ。
こればかりは、誰にも分からないし、

願わくば、
胃がん検診もきちんと受けて貰った方が良いのだが。

なんだか、無理やり病院へ引っ張っていく気にはならない。
もう、好きにさせてあげたい気持ちもある。





父が認知症と診断されてから、約1年5カ月が経過したが、
今のところ、認知能力に目立った変化は感じられない。


健康状態も、良さそうに見える。
心身ともに、悪くない状態だとは思う。


だけど、何となくだけれど、
見た目の印象が変わった気がする。


老化?
衰えた?








お父さん。


やっぱり、小さくなったよな。


本日のまこメシ。


アタシだけ。


横に成長期。


【ハンバーグになら魂を売ろうのランチのまこメシ。】
・ロコモコ風チーズのせハンバーグランチ





人はいつかは死ぬ。
それは避けられぬ宿命だ。


そして、
もしも、もしもだよ。


父の中で、「認知症」と「胃がん」と「老衰」が、そのスピードを競い合うとしたら、
父の宣言通り、「老衰」に勝って欲しいと願っちまうんだ。


死に方なんて選べないし、
まして、いつ死ぬかなんて、誰にも分からないけどさ。



父がそう願うのであれば、
「老衰で寿命をまっとうする」という選択をさせてあげたいのだよ。


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