父の認知症が始まった。#3

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惨敗。


19時00分。
震える手で、父に電話をした。


4回、5回。
いつものように、数回、呼び出し音が流れる。


何だか、判決を言い渡されるのを待っている気分だ。


死刑?
無期懲役?


いやいや、紛れもなく冤罪だぞ。






6回目のコールで、父が電話に出た。
ゆっくりとした動作が目に浮かぶ。


「おー。元気か?」


いつもと変わらぬ声。
思っている以上に、安堵しているアタシがいた。


通常より、ゆっくり、はっきり、大きな声で、
次の三連休には、実家に帰る旨を、父に伝えた。


「次の三連休だな。わかった。ところでさ……」


次の言葉を聞きたくない。
重大発表なら、もう少し後にしてくれ。






















「パソコン、新しいの買ったんだ」














へ?




本日のまこメシ。


残業が続いている。

栄養は外食ランチでとるのだよ。


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 ・京都 石塀小路 豆ちゃ
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父が自己流でパソコンを覚えたのは、還暦を過ぎてからだ。
今では、地域の回覧板など、人差し指1本で、作成出来るようになった。


そのパソコンが、壊れたらしく、
近所の電気屋で、新品のパソコンを一人で購入してきたとのこと。


一抹の不安がよぎったが、話をよーく聞いてみると、
適正価格、PCのセットアップ契約なども、一人で完璧にしてきたようだ。
EXCELLENT!




お父さん、ごめん。
勝手に、認知症者扱いしているのは、アタシだけだったね。


認知症の診断を受けたからと言って、
すぐに、お父さんが変わっちゃう訳じゃないよね。



最初から惨敗していたのは、アタシの心だけだった。

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