苦手な人。
職場で「隊長」と呼ばれる女性がいる。
正直、少し苦手なんだ。
本当はリーダーでもなんでもないのに、
部長を差し置き、「みんな、聞いて!」としゃしゃり出る。
彼女は、たぶん、しっかり者。
いやいや、ただの仕切り好きなのかもしれないな。
どこからともなく隊長の号令が聞こえるたびに、
アタシの中の小さな兵士が一斉にしゃがみ込む。
本人は、自分は気遣いが出来て、仕事が出来るタイプと思っているみたい。
「気遣い」と「出しゃばり」の違いってなんだろう?
心の中で、白旗をあげながら、自分に言い聞かせる。
「苦手な人を、無理に好きにならなくていいよ」と。
挨拶はちゃんとする。
仕事の話もちゃんとする。
だけど、戦場でわざわざ握手をしなくてもいい。
取り合えず、安全な距離を保てばいい。
心の最前線だけは死守していこうと思うんだ。
隊長、アタシの心には立ち入り禁止でお願いします。

本日のまこメシ。
実は。
隊長の名前もよく知らない。
【真夏の隊長・マーボーの本日のまこメシ。】
・麻婆豆腐
・冷やしトマト
・ご飯
・卵スープ
・ザーサイ
・蓮茶(温)

うん。
苦手な人を、無理に好きにならなくていい。
だからと言って、秒で嫌いになる必要もない。
いつか、互いに「面白い人」として、眺められる日が来るかもしれないからさ。
その日までは、
アタシはアタシのペースで生き延びよう。
「隊長、お疲れさまです」と、きちんと頭を下げながら。
自分の心に屈強なヘルメットを被せながら。
そうして、去り行く隊長の背に向かい、敬礼しながら、小さく呟いてみる。
「正直、アナタのこと、少し苦手なんです」
「でも、アタシ、今日も無事に生き残りました」

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