ゆけ!下僕道
「映画」を、そして「映画人」をもっと知りたい。
まずは、まこの雇い主である「監督」の作品から観てみよう。
前にも記述したが、実は、監督は国内外の映画祭でも高く評価されるほどの大巨匠である。
映画界に飛び込み50年、映画一筋の道を歩んでいる凄い人なのだ。
脚本も含め、手掛けた映画作品は30を超える。
その全てがTSUTAYAに行けばレンタル出来るという事実だけで、彼の偉大さが伺える。
へー。
このクソ監督、そんなに凄い人なのか。
この映画制作会社に就職した頃は、それほど映画に興味がなかったまこ。
映画館に行くのは年に数回、たまにテレビ放映で「洋画」を観るのが、関の山だった。
雇い主(監督)の作品すら、最新作の1作品しか観たことがない始末。
まこよ。オマエは映画界では底辺の人間だ。
Top of 下僕。
下僕中の下僕。
下僕のトップランナーだ。
監督の作品を観ていない?
そんな事では「下僕道」に反するぞ。
猛省して、監督の全作品を制覇だ。
ゆけ!下僕道。
![](https://makomako-memo.com/wp-content/uploads/2022/01/22565509_s.jpg)
ふー。制覇。
やや? ヤバイ!
この人、「ホントに」巨匠かもしれない?
(いやいや。最初から巨匠って聞いてたじゃないかっ!)
名作? 秀作? 奇作?
とにかく、人間臭く、色気のある凄い作品ばかりだ。
監督の映画作りの原点は、戦後の闇市(やみいち)での生活体験らしい。
だからなのか、日本の底辺に焦点を当て、生身の人間をひたすら追求する作品ばかりである。
ゆえに、重く暗い描写も多く、ハリウッド映画のような派手な映像や美しいシーンはないに等しい。
が、だからこそ、人間そのものの輪郭がはっきりと見える。
欲望を剥き出しにして、逞しく生きていく人間の姿は、それこそが美しく、感動を生むのだ。
もこり神様は云う。
「彼は、狂気を授かったな」
か・ん・と・くぅ~(監督)❤
凄いじゃないか、ええじゃないか!
ならば、ご褒美?に、美味しいお茶でも、淹れてあげよう。
監督の大好きなミルクティーを入れ、いそいそと監督の部屋へと向かう。
微かに開いた扉から、監督の姿が見えた。
さてさて、巨匠は、未来の大傑作を執筆中か、あるいは、分厚い書物を読破中か。
監督は、一心不乱に一枚の写真を眺めている。
芸能事務所から届いた宣材写真のようだ。
自分の頭よりも上に、高々と掲げて、下から眺めている。
ん? ミニスカートの女性の写真だ。
写真の角度を変えたり、自分の首を傾けながら、スカートの中を覗いているではないか。
え? 監督。
写真を下から覗いても、パンツ、見えませんからぁ!
巨匠? 凄い人?
前言撤回。
ただの、スケベじじいだ。
つづく
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