僕の宝物 &『今夜、世界からこの恋が消えても』

映画
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僕の宝物。


「僕の宝物です」


亡くなった奥様の写真を大切に胸に抱きながら。
90代の大巨匠は、少し照れたように微笑んだ。


新藤兼人(しんどうかねと)監督。
『裸の島』『午後の遺言状』など、映画史に残る名作を数多く生み出した映画監督・脚本家だ。
99歳まで現役で映画を撮り続け、遺作となった『一枚のハガキ』を公開した翌年、100歳で天寿を全うされた凄い人である。


その彼に。
「宝物」と称された奥様は、トップ女優の乙羽信子(おとわのぶこ)さん
監督が82歳の時に、死出の旅に出てしまったが。
監督の愛情は全く変わらず、ずっとずっと「僕の宝物」のままだ。


う、羨まぢいぃ~。


女として生まれてきたからには、
こんな風に、愛されてみたいものである。

そして。
この時代に、
女として生まれてきたからこそ、
彼のように好きなことに打ち込み、天寿を全うしたいものだ。



当時96歳の新藤監督が、アタシが担当したイベントにゲスト出演した際に、こう語っていた。


「最小限の人数でも、強い意志と行動力があれば、日本のどこででも映画は撮れる。泥にまみれながら、その頂点に達したのが『鬼婆(1964年)』だ。間もなく97歳になるが、いつも25歳のつもりで映画を撮っている。映画があったから、生きてきた」と。


また、遺作となった『一枚のハガキ』を撮り終えた後のインタビューでは、「言い残したこと、やり残したことなどなく、監督人生をおしまいにすることが出来たと思っている」と語ったそうだ。


ホント。
斯(か)くありたい!

『今夜、世界からこの恋が消えても』


さて。
本日も、映画のネタバレはしないように。
参考にならんことを、勝手にモノ申す。



『今夜、世界からこの恋が消えても』
道枝駿佑さん(なにわ男子)、福本莉子さんのW主演。
電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した一条岬さんの小説の実写映画化である。


眠るとその日の記憶を失ってしまう難病「前向性健忘」を患うヒロインと、彼女を支える青年が織り成す恋を描く。


なかなか感情移入しずらいシチュエーションだし、
ストーリーも、ちょっこり読めてしまうけれど。


あまり深く考えずに、彼らの青春の波に、思い切りダイブしてみて欲しい。
難病を患った経験はなくても、「好きな人を笑顔にしたい」と願う心は、きっと共有できる筈だ。


あまり期待しないで観た映画だったが。
思いがけず、良い作品と巡り逢えたと感謝している。


そろそろ映画館での上映は終わりそうだが。
(勿論、映画館での鑑賞が一番だが)
DVD、配信、後のTV放映でも良いので、観て欲しい作品だ。




何が「宝物」かは、人それぞれ。
年齢なんて、関係ない。

「宝物」と出逢えた人生は、それだけで耀く。
そして、それを手に入れられるのは、きっと、奇跡みたいに素晴らしいことなんだろうな。



「宝物」を見つけたならば、

それを本気で守りたいなら、

新藤監督のように、強い意志と行動力で、戦い続けなけらばならない。


そう。
いつも25歳のつもりでね。(老)

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