後悔先に立たず。
朝の通勤時間帯。
電車内で、突然、人が倒れた。
アタシの後方からドンと音が聞こえ、
振り返ると、50代くらいの男性が、床に倒れ込んでいたんだ。
男性は、うつ伏せのまま、動かない。
周囲も、凍ったまま、誰も動かない。
長い長い10秒が過ぎた後、
ようやく一人の男性が駆け寄り、声をかけてくれた。
「大丈夫ですか?」
倒れた男性の意識は朦朧(もうろう)としていたが、
不思議なもので、大丈夫でない人ほど、こう呟くんだ。
「大丈夫です」
男性は何とか立ち上がったが、すぐに壁に寄りかかり、
へたへたと床にしゃがみ込んでしまった。
それでも、シートに座っている人々は、
誰一人、変わろうとはしない。
助けた男性が、呆れたように云い放つ。
「誰か、席を譲ってあげたらどうですか?」
その声は冷たく、侮蔑(ぶべつ)を含んでいた。
ごめん。
ごめんよ。
その時、アタシは座っていたわけではないけれど。
目の前で人が倒れたのに、なに一つ出来なかった自分。
席を譲らなかった人たちと、まるで違(たが)わない。
痛い。
痛いよ。
心の中で、彼の無事を願う以外、なにも出来ずにいたんだ。
だけど、心の中だけではダメなんだ。
倒れた彼にとっては、何の意味もないのだ。
倒れた男性は、次の駅で、一人、降り去った。
覚束(おぼつか)ない足取りで。
きっと大きな不安に包まれて。
後悔している。
反省している。
どうして、アタシは、彼が倒れた時に、すぐに声をかけなかったのだろう?
せめて、アタシも一緒に駅を降りて、介助すればよかったのに。
後悔先に立たず。
役立たずなアタシ。
猛省している。
本日のまこメシ。
悔い改めよ。
【肉も魚も禁止の懺悔(ざんげ)の本日のまこメシ。】
・玄米ご飯
・梅干
・即席みそ汁(具なし)
・ダイコンおろし
・ミニトマト
・豆乳
今さら、後悔しても遅い。
だけど、反省はしなくてはならない。
次はどうするべきか、頭と心に叩き込むんだ。
自分にもできること。
それは、声をかける。
そして、繋ぐことだ。
非常用ボタンを押して乗務員さんに知らせるとか。
駅で一緒に降りて駅員さんに通報するとか。
周囲の人にだっていいんだ。
状況をみて、声を上げ、誰かに繋げば、きっと大きなチカラになってくれるはずだ。
「誰かがやってくれる」と、
口をぽかんと開けて見ていてはダメなんだ。
「知識もないし、どうしよう」と、
言い訳していてはダメなんだ。
その時、自分に出来ることは、精一杯、やらなければ。
もう、後悔はしたくないからさ。
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