門扉。
比較的「まめ」だと思っていた父も、
最近、腰が重くなった気がする。
今まで普通にこなしていた習慣も、
面倒なのか、やらないことも増えたようだ。
そして、最近、気づいたのだが、
父は、通りに面する「庭の門扉」を、開けっ放しにするようになった。
あまり小言を云うのも気が引けるので、
しばらく静観していたのだが、
最近は、凶悪な強盗事件が相次いでいるし、
「以前のように、夜間は、門扉を閉めようね」と云おうと思っていた矢先、
不審者は、やって来たんだ。
怪しい人。
先日、実家に帰った際に、
夜8時、家のインターホンが鳴った。
ピンポーン。
ピンポーン。
聞きなれた音のはずなのに、
重く、そして、黒く感じる。
「こんな時間に訪ねてくる人はいない」という父の代わりに、
無言でインターホンを覗いてみると、
闇の中に、男性らしき人物が、一人、
顔を映したくないのか、カメラに背を向けて立っている。
居留守を使うべきか?
それとも、はっきりした口調で追い返すべきか?
正解が分からない。
周囲には家が立ち並び、昼間は人通りの激しい場所ではあるが、
夜ともなると、寒々とした街頭がぽつりとあるぐらいで、
突発的に、悪魔が紛れ込んできたとしても、
誰にも見つからないような深い闇が広がっている。
少し悩み、アタシは居留守を選んだ。
怪しい人物は、すぐに立ち去ったようだ。
が、不在や寝静まった高齢者の家を物色している泥棒・強盗も多いと聞く。
「居留守」を選んだことにより、自分で自分の首を絞めちまったのかもしれない。
怖い。
何となく、イヤな予感がする。
よくは分からないが、とにかく門の扉を閉めなければ。
「不審者を敷地内に入れるな」と、何かが叫んでいる。
少し時間を空けてから、明かりを煌々とつけ、
父と二人で、大きく開け放たれたままの庭の門を閉めるために、外に出た。
様子を伺い、スマホを握りしめ、仁王立ちし、腹にチカラを込める。
いつだって、近隣に届くように、大声で叫んでやる。
すると、その時、ちょうど不審な車が近づいてきて、
我が家の庭に突入してくるような動きを見せた。
が、車が侵入できぬよう、せっせと門を閉める父とアタシの姿を見つけると、
急に、Uターンし、乱暴に走り去っていったのだ。
実際に、何かされたわけでもなく、
あれが強盗だと確信もないのだが。
アタシは、あれは、悪魔だったと思っている。
それ以来、平和ボケだったアタシたち家族は、
家の戸締りや防犯を強化した。
これからは、毎日、門扉を閉めようね、と優しく父を諫(いさ)めながら、
同時に、自分を諫めた。
最近、門扉を閉めなくなった父の行動に、もっと早く気付くべきだった。
そして、気づいたその時に、遠慮なく、注意するべきだった、と。
当たり前だが、自分の身は、自分で守らねばならない。
キミたちも、どうぞ、気を付けて。
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本日のまこメシ。
もし、あの時、庭の門扉を大きく開け放ったままであったら。
父とアタシは、今頃、どうなっていたのだろう?
【平和な日本はどこへいった?の実家のまこメシ。】
・刺身
・スンドゥブチゲ鍋
・チンゲン菜の炒め物
・ハムカツ
・梨
・日本酒(冷酒)
父に尋ねると、
怪しい電話は、よくかかってくるという。
「家電にかかってくる電話は、殆ど、詐欺だ!」と、父は云い放っていたが、
本来、電話は、会えない人と話が出来る、そんな素敵なツールの筈だ。
電話を発明したのは、エジソンなのか、ベルなのか、メウッチなのか、
アタシには、よく分からないけれど。
いずれにしても、
人を騙すための道具として発明されたのではない。
人という生き物は、
しばしば、偉大な道具を作り出し、
しばしば、使い方を間違える。
電話も、ナイフも、車も、ネットも、
人を傷つける為に作ったわけじゃないのだよ。
人が、人を幸せにする為に、
作り上げた奇跡なのだよ。
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