第74柱 『弱い犬ほどよく吠える』

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弱い犬ほどよく吠える。


「会社、辞めたい」

最近、思わず、口をついて出てしまう。
アク部長がパワハラで人々を支配するようになってからだ。


「まこちゃんが辞める必要ないわよ。辞めるのは、アク部長の方よ」

経理の慶子さんが、優しく言い放つ。
彼女は、笑顔も身体も、ふわふわと柔らかそうだ。


慶子さんは、前に勤めていた映画制作会社の先輩だ。
その後、訳あって、アタシが今の会社の経理にヘッドハンティングしたのである。
(慶子さんについては、「第33柱 私のもこり神様『経理の慶子さん』」を参照)


彼女をスカウトした時には、アク部長はまだ存在しておらず。
計らずも、アタシが慶子さんを地獄に巻き込んでしまったようで、申し訳ない気分で一杯だ。


しかし。
彼女の嫋(たお)やかな喋り方だと、何を云っても、悪口に聞こえないから不思議だ。
例え、彼女が「アクのバカヤロー!」と侮蔑したとしても、「アク部長のおバカさん」くらいのニュアンスになる。
うん。話し方って、ホント、大事。


「アク部長も気の毒な人なのよ。能力もないクセに、必要以上のポジションに就いちゃって」

相変わらず、優しく毒を吐く慶子さん。

「弱い犬ほどよく吠えるの」


嗚呼。
この人がそばにいてくれて、本当に良かった。(涙)



人は変わらない?


アク部長を批判ばかりしていても、いけない。
人を変えたければ、まずは、自分から。
アタシの方で改めることはないか、探ってみよう。


アク部長は、ここに来るまで、あちこちの関係会社をたらい回しにされたと聞いた。
劣等感の塊なのだろうか?


ならば。
まずは、『北風と太陽』作戦だ。


親切にしたり。
従順に接したり。
たまには、笑顔で叱ってみたり。(←これ、偉い人には、意外と効くのだよ)


仕事も勿論、バリバリこなした。
上司に恥をかかせぬよう、
アタシの最大限のチカラで、職務をサポートした。


どこにでも、イヤな人はいるけれど。
こちらが誠意を持って接すれば、大抵の人は、少しは人間らしくなるものである。


ところが。


甘かった。


悪いヤツは、そう簡単に変わらない。


そうだ。
この男は「人間」じゃない。
本物の「悪魔」なのだ。


つづく

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