第27柱 私のもこり神様『皮、喰う人々。』

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皮、喰う人々。


一般企業から映画制作会社へ。


初めての経験は、「見るもの」「聞くもの」だけではない。
映画界で働く「人々」もまた、人生で初めて出会う、珍しい輩(やから)ばかりである。


朝、事務所に出社すると、床に直接、ゴロンと寝転がっている見知らぬスタッフがいる。
最初は死んでいるのかと大騒ぎしたが、どうやら夜中まで撮影が押して、自宅に帰れなかった若いスタッフ達のようだ。


彼らの殆どは、会社勤めではなく、フリー契約をして制作現場に臨んでいるとのこと。
昨夜遅くまで、現場で働いていたらしい。


馬車馬のように働かされた挙句、夜中に開放されたが、宿泊代やタクシー代は捻出できない。
そんな彼らを見かねたガガさんが、「オレの事務所で寝てもいいぞ」と泊めてあげたらしい。
いつもながら、ガガさん(女性)、男前だね!


映画の制作現場に於いて、アシスタントと呼ばれる人々の労働環境は、劣悪だ。
『キツイ、食えない、休めない』は当たり前。
なのに、飛び切りの薄給ときたもんだ。


床に寝ているスタッフは、食事にかけるお金もないらしく、
昨日、アタシが生ゴミとして捨てたミカンの皮を、洗ってむさぼり喰っていたようだ。


そうまでして、彼らが働き続ける理由は、たった一つ。
「映画が好き」だからだ。


それは、とても尊いと思う。
だけど、この劣悪な労働環境を、当たり前と思ってはいけない。
「好きだから仕方ない」と今の環境に甘んじてしまう働き方は、絶対に誤りである。


そして、若いから、経験不足だからと云って、ろくな給料を支払わず、「好きだから」という相手の気持ちに付け込んで、過分な労働力を搾取する一部の強者たち。
映画界の悪しき慣習である。


今のアタシには、皆を救ってあげるほどのチカラも経済力もない。
が、いつか偉くなったら(なれたらの話だが)、ガガさんのように何か手助けしてあげたいものである。



もこり神様は云う。

「いつかこの経験を思い出し、心を込めて磨いて欲しい」と。





人がただの材料になってはならない。

人は大切な財産だから。


つづく

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