父の認知症が始まった。#51

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探し物。


父が、家の中で、何かを探している。
その表情は暗く、固い。


聞いてみると、探しているのは銀行のキャッシュカード。
1週間前に使ったが、いつも保管している引き出しの中にないと云うのだ。


「あらら、それは困ったね。一緒に探すよ」と明るく云ってはみたものの。
実は、心の中では、アタシの方が焦っていたに違いない。


結局、キャッシュカードはすぐに見つかった。
いつも保管している引き出しの外に、滑り落ちていただけだった。


「悪いな」と父は寂しげに笑うけれど、
それがまた、アタシの心を締め付けた。





少しづつ、
増えてきたね。


忘れたり。
分からなかったり。


だけど、
たまに、


適格だったり。
理路整然としていたり。


だから、希望が胸に満ちたり。
だけど、すぐに、ココロが曇ったり。





「見つかって良かったね」と笑顔で父に声をかけながら。


ホントは少しだけ、泣きたかった。


あるはずのない答えを、


探し回りたい気分だった。




本日のまこメシ。


あ。


箸(はし)、忘れた。


【自分だって忘れるのだよの弁当のランチのまこメシ。】
・手作り弁当
・揚げ茄子の味噌汁




「もの忘れ」と「認知症」の違いは、
「体験したことの一部」を忘れているか、「体験したこと自体」を忘れるか。


例えば、「朝食を食べた」ことは覚えていても、「何を」食べたのかを忘れたのは「物忘れ」。
「朝食を食べたこと自体」を忘れる場合は「認知症」である。


今の父は、キャッシュカードを使って、どこにしまうべきかは覚えているけれど、
いつか、どこに置いたか分からなくなり、「キャッシュカードが盗まれた」と云うのだろうか。




忘れていくことを忘れるかもしれない父を、


忘れないようにと見つめるアタシ。


そんなアタシの記憶もまた、


アタシ自身、いつか忘れていくのかな。



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