夢を追う人。
映画に携わる会社で仕事をしていると。
たくさんの「卵」たちが、アルバイトとして訪れる。
監督の卵
俳優の卵
脚本家の卵
などなど。
彼らは、アルバイトをしながら、
自主映画を制作したり、
小さな舞台に出演したり、
作品をコンクールに応募したりと、
キラキラと自分の夢を追いかけている。
だけど。
一人、また、一人。
サヨナラを告げに来る。
別の業界に就職した
結婚した
そして、本当にデビューを果たした
と、理由は様々だが。
おめでとう。
いずれにしても「卒業」だ。
例え、映画とは別の道に進んだとしても、決して、夢に破れたわけではない。
新しい夢を見つけたのだ。
斯く云うまこも、中学生の頃からの夢があり、
今も、這いつくばりながら、その夢を追いかけ続けている。
同級生の結婚式や、
子供の誕生祝いに駆けつけるたびに、
嘲笑付きで云われたよ。
「現実を見なよ」
だけど。
夢は、人それぞれだよ。
夢は、一人に1個じゃないよ。
「現実」も「夢」もどちらも大切。
どちらかが「上」なわけじゃないよ。
自分は、自慢できるモノなど、一つも持ってない。
でも、
たった一つだけ、粗末な才能があるとしたら、
愚かにも、自分の未来を信じてあげられることだ。
他人を嗤(わら)う人より、
応援してあげられる人になりたい。
追いかけ続ける人でありたい。
叶えたい夢、ありますか?
「結婚したい。で、出来れば、彼に養って欲しいの」
彼女は、少し照れたように、
でも、真っすぐ前を見据えながら、こう告げた。
彼女は、まこより少し後に映画界に転職して来た同僚で、見た目は女優の松たか子さんに似ている。
(なので、このブログでは、松ちゃんと呼ばせていただく)
言動も上品、性格は優しく素直。
仕事も正確・優秀で、非の打ちどころがない女性である。
放っておいたって幸せな結婚も、仕事の成功も勝ち取れるような松ちゃんだが。
いやいや、高嶺の花には「花」なりの悩みがあるらしく。
なかなか思い通りの「夢」の実現には、至らないようだ。
「皆には、内緒だけどね」
松ちゃんが、小さな顔を近づけてきた。
「もう100人くらい、男の人と会ってみたよ」
友人の知り合い、親戚の知り合い、結婚相談所ほかetc.etc.。
時には、傷つき、泣いたりすることもあったけど。
そして、松ちゃんは、夢を掴むために、本当に努力をした。
愛される努力も。
愛する努力も。
女性の社会進出が著しい今だが。
結婚を夢にあげる女性も、沢山いる。
とても素敵な夢だと思う。
自分とは違う夢だけど。
あれから、松ちゃんは素敵な人と結婚し、会社も辞め。
現在は、高給取りの旦那様と可愛い子供に囲まれて、
しっかりと養ってもらっている(笑)。
あねご神様が、まこの耳元で、そっと告げる。
「オマエは、オマエの心の導きを信じなさい」
這いつくばりながらでも。
顔を上げれば、
絶対、空は見えるんだ。
アナタには、
叶えたい夢、ありますか?
つづく
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