第68柱 『そして悪魔がやって来た』

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そして悪魔がやって来た。


その男は。
最初は、全く存在感のない男だった。


50代男性、ある大手会社からの出向者である。
出向者には、2種類いるようで、
適材適所に配置され本領発揮する人と、
会社としては不要な人材だけれど、クビにも出来ないのでと、関連会社に飛ばされる人。


大きな身体を小さく丸め、
暇そうに時間を潰している、この冴えない男は、
間違いなく後者に違いない。




それでも、少し気の毒にも思え、
社内の人達で歓迎会など催し、親交を深めてみたが、
酒癖の悪さとセクハラの酷さで、すぐに誰も近づかなくなった。
大声で怒鳴ったり、
女性の身体を触ったりするからだ。


気の弱そうな女性をターゲットにしたり。
店員さんには、偉そうな態度をとったり。
タクシーの運転手さんには、「わざと遠回りしただろっ!」と喚(わめ)き、車体を蹴飛ばし、ツバを吐く。


翌朝には、何も覚えていないと、言い放つのだが。
そもそも、覚えていられないほど、酒を呑んではいけないのだよ。(涙)





これが、酒の席だけの傲慢であれば、
一緒に出掛けなければよいだけの話だが。


日常に、悪魔が現れる時は、いつも不意打ちで。


何だか。
人生に、裏切られた気分だ。


悪魔が上司に?!


程なくして。
理想の上司が、ある大手会社の取締役に抜擢され、
急遽、我が事務所を去ることとなった。


後任人事はなかなか決まらず、ギリギリまで揉めていたが、
急転直下、後任は悪魔に決まったようだ。


何故だ?
何故だ?
何故なんだ!


どこの業界も、同じかもしれないが。
どうして上層部の人たちは、悪人ばかりを出世させるのだろうか?


見る目がないのか。
面倒なのか。
もしかして、馬鹿なのか。


怒りを通り越して、呆れるな。 

つづく

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