第53柱 私のあねご神様『達人』

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差し入れの達人。

映画業界に再就職してから、数年が経過した。

少しづつ仕事にも慣れ。
この土地にも慣れ。
仲間にも慣れ。

まだまだ勉強中の身であることに変わりはないが。
充実した、楽しい毎日を送っていた。



たまには、泣きたくなるような残業続きの日もあるが。
そんな時は、花子先輩が、差し入れを買って来てくれた。
(花子先輩については、第44柱 私のあねご神様『ALIVE or DEAD』を参照)


袋の中身を覗いてみると。
美味しそうな「おにぎり」と「サンドイッチ」が山ほど入っている。

「どっちが好みか分からないから、両方にしたよ」

わーい。(涙)



花子先輩から受けた温情は。

いつか自分が、誰かにしてあげたい。



電話の達人。


会社で困ったことに直面しても。
花子先輩に相談すると、大体のことは、何とかしてくれる。



いつも締め切りを守ってくれない○○会社のⅮ社長。
電話1本で、叱ってくれた。

「アタシ、Ⅾ社長とは、入社した頃からの知り合いなのよ。アイツ、偉くなったもんよねぇ~」

花子先輩、あっぱれである。



急な接待で、本日10名で個室を予約しなければならない時に。
電話1本で、近所の美味しい和食屋を、押さえてくれた。

お店の人は云う。
「花子さんには、いつもお世話になっているので」

花子先輩、ナイスである。



こんな風に。

給湯室のお湯が出なくなった時も。
急に、手土産が必要になった時も。
突然、誰かの具合が悪くなった時も。

大体、花子先輩が、電話1本で、解決に導いてくれるのだ。


あねご神様が微笑む。

「彼女の過去の体験は宝物ね。心を込めて一緒に磨きなさい。きっと、オマエにとっても宝物になるわ」


メールの達人?

差し入れの達人で。
電話の達人の花子先輩。
だけど、メールには、めっぽう弱いようだ。



先日も、有給休暇をとっている花子先輩から、メールを貰ったが。


花子先輩 「しことおわたら、銀座べてこれる?」

まこ   「はい。6時には出られます。会社を出る前に電話しますね」

花子先輩 「わかたよ」

何故、カタコトになるのだ???

まこ   「花子先輩、今日のお休みは、何をしてたの?」

花子先輩 「映画みてたよ」

まこ   「何を観ました?」

花子先輩 「『思い出のムーニー』」


オムツか!
(正しくは、『思い出のマーニー』(スタジオジブリ作品))



いつも頼りになる花子先輩だけど。

メールだと。

何だか、可愛い!

つづく

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