そうだ、温泉に行こう。
温泉に行こう。
ふと、そう思い立ち、急遽、有給をとった。
心をなぐさめ、労をねぎらう。
そう、自分を癒す慰安旅行である。
今回の旅の条件はこれに決定。
・1泊2日
・部屋に露天風呂付
・朝夕食事付き(部屋食 又は 個室)
・近隣のパワースポットに寄りたい
・予算は(お土産等も含め)5万円くらい
わ。
なんかウキウキしてきたぞ。
しかし、一人で温泉旅行に行くのは初めてである。
高いかな?
寂しいかな?
んー、どうでしょう?
早速、ネットで検索してみると、条件に叶いそうな素敵な宿を発見。
南伊東温泉。
「直前割」で、一泊40,965円。
む。
やはり、一人での宿泊は割高だな。
だけど、裸で部屋を歩き回れるし、
誰に気兼ねなく「う〇こ」も出来る。
この気軽さ。
何者にも代えがたい。
海!
東京から南伊東までの道のりは、いくつかある。
アタシは、熱海で下車し観光してから、南伊東へ向かうことにした。
東京駅から「新幹線」を利用した場合、約40分、3,740円。
「特急」は、約1時間20分、3,560円だ。
が、宿代を奮発した分、ここは「普通電車」をチョイス。
上野駅→熱海で、所要時間は約2時間、金額は1,980円。
「普通電車」で充分だぞ。
JR上野東京ラインの10:30上野「始発」熱海行の電車を選び、
「ボックスシート」から車窓を眺めていた。
バッグには、お茶やお菓子を忍ばせて。
小田原駅を過ぎる頃には、左手に視界いっぱいの相模湾が広がっていた。
山側には、オカメザクラが咲き誇っている。
海、サイコー!
熱海。
12時半には、熱海に到着。
あれ?
熱海って、こんな所だっけ?
駅周辺は、人、人、人。
「活気」というより「暴動」に見える。
皆、一様に殺気立っているんだ。
人混みをなんとかすり抜け、熱海駅前平和通り商店街へ向かう。
が、ここも観光客で溢れ、人気のお店の前には長蛇の列。
イヤだ。
のんびりしに来たのに、イライラしちまう。
早々に熱海を退散することにした。
ホントは、「あわび串」とか人気のスイーツとか、食べ歩きしたかったのだけれどな。


南伊東。
騒がしい熱海を立ち去り、普通列車で、南伊東へ向かう。
約30分、498円。
南伊東駅は小さな駅だが味がある。
熱海とは違い、人も疎(まば)らで、ほのぼのとした雰囲気が漂っていた。
嗚呼。
田舎者、なじむ。

淘心庵 米屋。
南伊東駅から徒歩4分。
『淘心庵 米屋』(とうしんあん・こめや)に到着。
(ちなみに、「伊東駅」から無料送迎車も出ている)
伊豆の奥座敷に隠れ家のように佇む全17室の料亭旅館。
館内のあちこちに施した季節を感じる花が美しい。
到着後は、抹茶とお茶菓子でほっと一息。
イヤでも期待が高まる。

どうする? 心付け。
そして、今回の旅の試練はこれ。
「心付け」は、どうしたらいいの?
基本的には、宿泊料金の中にサービス料が含まれているので、渡す必要はないという。
が、特別な対応をして貰った時には、感謝の気持ちを示したい。
相場は、宿泊代金の1~3割が目安。
1,000円~3,000円程度でいいみたいだ。
大人だし。
ちょっとカッコつけたい気持ちもあるし。
取り敢えず、ポチ袋に3,000円を忍ばせて、
部屋に案内してくれた女中さんの説明を、ドキドキしながら聞いていた。
渡そうか?
渡すまいか?
だけど、この宿は、誰か1人が「担当」してくれるというより、
沢山の方々が、心からアタシの1泊をバックアップしてくれるという感じだ。
なので、女中さんも、心付けを欲しがる仕草は一切なし。
ほっ。
部屋。
取り敢えず、部屋でのんびり。
アメニティやコーヒーメーカー、テレビも完備。
設備は申し分ない。
そして、ツボだったのが「茶香炉」。
室内にほんのり香る茶は、リラックス効果もあり、とても気に入った。
ま。
ツインベッドは、さすがに、うら寂しいが。

夜のまこメシ。
待ってました!
熱海で「あわび串」を喰いそびれたので、腹ペコである。
いや、むしろ、この食事のために神が与えてくれた空腹に違いない。
夜の食事は、旬の素材にこだわった米屋自慢の和懐石。
完全個室なので、周囲の目を気にせず、食事を楽しむことが出来たぞ。
お酒は、静岡県産の地酒・呑み比べセット(初亀/磯自慢/喜久酔)をチョイス。
あー、恐悦至極に存じます。
五色・五味・五法。
日本料理の基本を大切にしたこだわりの会席料理を大いに楽しんだが。
美味しいからこそ、誰かと共有できないのは、残念な気持ちになる。
普段は、あまり思わないことだが。
寂しいです!





風呂。
部屋風呂は、源泉かけ流し半露天風呂。
肌はツルピカ。
湯加減もばっちり。
身体を湯に沈め、
檜風呂から湯が溢れ出る瞬間、
ザッバーン。
アタシは「王」になる。(恍惚)
宿には、四阿岩風呂と古代檜風呂の趣溢れる二つの大浴場があるが、
結局、そちらは使わなかった。
大浴場の前にはちょっとした涼み処があり、
カラカラと音をたてる氷の中には、
よく冷やされた牛乳や乳酸菌飲料もあった。
あれだけでも飲めば良かったな。

朝のまこメシ。
朝も和懐石。
旅館の朝ごはんって、永遠に一等賞である。
この写真には納まりきれないほどの品数だったが、美味しくて完食。
ただ、「炊き立てご飯」の窯があったのに気づかず、お代わり出来なかった。
後で、少し泣いた。



チェックアウト。
身支度を済ませ、チェックアウト。
最後は、無事を祈るという「火打ち石(ひうちいし)」で送り出してくれる。
「火打ち石」とは、身を清めるまじない。
火が魔除けになるというお祓(はら)いの一種である。
ありがとう。
全てに癒されました。
次は、パワースポット・熱海來宮神社へ。
つづく
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