もう戻れない世界。
最近も、不思議な夢を見続けている。
ある夜。
夢の中に、亡人が次々と現れ、話しかけてきた。
アタシの亡き母。
若くして逝ってしまった大好きな友人。
急逝したお世話になった○○会長。
そして、この夢に出てくる場所や物は、
懐かしい場所や、大好きだった物ばかり。
初めて自分で買った中古の車。
海で失くしたお気に入りの指輪。
中学生の部活で頻繁に使っていた体育館。
そんな中。
生きている人達も、ちらほら夢の中に混じるんだ。
目覚めてから気付く。
ああ、今の夢は。
きっと、アタシの生涯に於いては、
もう会うことの出来ない人達や、
訪れることのない場所、
触れることの出来ない物ばかり。
二度と、出逢うことの出来ない、
もう、戻れない世界。
そして。
夢の中には、「あの人」も出てきた。
結構、残酷な夢だな。
コロナで変わってしまった世界。
コロナ禍以降、世界は大きく様変わりしてしまった。
信じていたもの、永年に続くと思っていたものが、
いとも簡単に覆されてしまったのだ。
だけど、不思議だな。
宇宙の意思で、正されているような気がする。
未だ正体を秘したコロナに、アタシの中心を暴かれた気分だ。
アタシ自身。
人生における価値観や優先順位が、はっきり見えてきたように思う。
もう。
以前と全く同じようには、生きられないんだ。
つづく
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