第12柱 私の母さん神様『神様ルール』

スピリチュアル

神様ルール。

あれから、母は、丑三つ時(午前2時)にパタリと現れなくなった。

母の不在(死)に慣れぬまま、時を過ごしていたが。
五十日祭(仏教でいう四十九日)を過ぎた頃、母は、次なる「不思議」を運んできた。
ちょいちょい、「夢枕に立つ」のである。




夢うつつ。
ぼんやりとした眠りを彷徨っていると。
夢の中に、ひょこりと母が現れる。


それは、いつも突然の来訪だ。

こちらが会いたいと願っている時とは、限らない。
涙ながらに語りかけても、ずっとガン無視の時もある。
「母さん神様」の夢枕は、こちらの希望通りにはいかないのである。




「あっちにも色々決まりがあるの。結構、忙しいのよ」と母は云う。


母曰く、あちらの世界の神様ルールは、以下の通り。


・この世に来るのに、申請が必要。申請に3日かかる。
・相手が、夢うつつやボーっとしている時にしか、出てはいけない。
・母は、一言しか話してはならない。
・母は、あちらの世界の事を、ペラペラと喋ってはいけない。



え? 今、ちょっこり書いちゃってますけど、大丈夫かしらん???



そして、もう一つ。
夢枕に登場する母は、決まってこうだ。


亡くなった時より、ずっと、ずっと、若く、美しい。


それ。
ズルイやーん!

母の誕生日。

母が亡くなってから、初めて迎える「母の誕生日」の日のことだ。
母は、いつものようにヒョコリと夢枕に立った。
両手に大きな苺ケーキを抱え。
満面の笑みを浮かべている。


やや! これは?!
ケーキを催促しに来たのかな?

ごめんね。
そう云えば、亡くなってから、大好きなケーキ、お供えしてなかったね。


何となくだが。
母の死後、ケーキとか、誕生日とか、そういったハッピーオーラ満載のモノは、意識的に排除してきた。
勿論、アタシも、友人と楽しくケーキを食すことなど、ご法度だ。
「喪に服す」とは、そういうことだと思っていたから。


今日は特別。
ケーキを買いに走った。
母の大好きな苺ケーキを、奮発して、ホールで購入。
そして、しっかりとお供えした後、父と二人、少しづつケーキを切り分けて食べた。


甘い。
そして、うまい。


何故だろう?
「甘いモノ」の魔力は、格別だ。
人を惑わせ、惹きつける。
チカラになり、栄養になり、そして、幸せな気分になれるのだ。



そうか。
夢枕の母は、自分のために催促してたのじゃなくて。

父とアタシが元気になれるよう、ケーキを運んで来てくれたんだ。
抱えていた苺ケーキは、きっと、私たちへのプレゼントだったのだ。



しかし、あちらの世界では、カロリーとかも気にならないようだ。
それはそれで、ちょっこり、羨ましい。

つづく

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