第2柱 私のおじさん神様『おじさん神様、誕生』

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おじさん、だーれ?

「おじさん神様」は、ある日、ひょっこりと現れた。

正確に言うと「現れた」のではなく、突然、アタシの中に「産まれた」感じだ。



それは、中学校に入学したばかりの頃だ。
花も恥じらう12歳。(早生まれ)
いや、恥がハジ着て歩いているような少女だった。


当時の北関東の少女は、皆、ジャージが鉄則だ。
この日も、部活帰りの4人組。
見渡す限り田んぼの通学路を、ウキャウキャと喋りながら、帰途についていた。



「今からオマエを見定める」


突然、知らない声がした。
高圧的な喋り方。
気に入らねー。



いや、待てよ。

念のため、辺りを見渡す。
北関東には、残念ながら、変質者が多い。
中学女子のジャージ・マニアが後をつけて来たのかもしれない。

ちょっこり身構えたが、アタシ達4人以外に誰もいない。
そして、いつもの通り、この声は、他の3人には聞こえていないようだ。



「今から3日間、オマエと一緒にいる。そして、オマエを見定める」


もう一度、同じ声がした。
背中から胃の辺りまで、ちょっこり重い気がする。



ふむ。
このパターンは初体験だ。

変質者じゃないのは、わかった。
でも、「一緒にいる」って何なの?
だいいち、おじさん、誰なのよー??

おじさん神様、誕生。

変なモノに憑りつかれたかな?


そんな時は、粗塩(あらじお)でお払いだ。
一目散に自宅へ帰り、身体に塩を振りかけ、お清めした。


が、何となく、落ち着かない。
「内側から」視線を感じるのだ。



こんな事は初めてだ。
怖くなり、何も手につかない。
お風呂になど、勿論、入れない。
(だって、知らないおじさんが見ているかもしれないのだから。ひゃあ~!)


その日は、とにかく布団をかぶって寝た。
熟睡など出来るはずもない。
浅い眠りに魘(うな)されて、何度も目が覚めた。


翌日、翌々日と、おじさんは現れなかった。
なんだ、気のせいだったのかと思った矢先。
最初に声を聞いてから、3日後に、おじさんは再び現れ出たのだ。



「オマエを気に入った」



ひょえ~~~。


ある意味。
ジャージ好きの変質者より。

怖いぞ。おじさん!



それから、おじさんは、 度々アタシの「中」に現れた。
姿を見せるわけではない。
心の中、あるいは頭の中で声が響き、その存在を感じさせるのだ。





おじさん、だーれ?


「守護霊の中の『指導霊』だ」


何しに来たの?


「オマエの魂を磨(みが)くためだ」





仙人のような。
山伏のような。

厳(いか)ついおじさんが、アタシにぴたりとハマり、離れない。



乙女としては。
困ったもんだと、ぷりぷり怒っていたが、
受け入れなくてはならない事と、不思議と悟っていた。



ならば。
共に生きるしかない。


その日から、声の主を「おじさん神様」と命名した。

私のおじさん神様の誕生だ。

つづく

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