第56柱 となりのお不動様『凄い霊能者②』

スピリチュアル
※ アフィリエイト広告を利用しております
※ アフィリエイト広告を利用しています

何が視えているの?

となりの里のお不動様は。
とにかく、摩訶不思議なり。


過去も未来も視えているのか?
あるいは、人の心が読めるのか?

どうあがいても、本人以外、知り得ないことも。
お不動様は、はっきりと捉えてているようだ。




最初に、まこが尋ねた質問はこうだ。

母が亡くなった。
「事故」は何故おきたのか、と。



すると。



「本人は、『滑って、捻(ひね)った』と云っている」

お不動様が、静かに告げた。

「びっくりして、慌ててしまった。気が付いたら、頭を打っていた、と」




滑落死(かつらくし)。
そう、母は山から滑り落ちて、頭を強く打ち、死んだのだ。


お不動様の語ったことは。
事故を目前で見ていた父の話とも一致する。
通常、「事故」と聞くと「車の事故」を思い浮かべる人が殆どだというのに。
お不動様には、山から転げ落ちる母の姿が視えているのだろうか。



「可哀想だが、これが天命。寿命だな」


母の言葉。

結局、お不動様は、全てお見通しだった。


母の死以外にも。

その頃、悩んでいた人間関係や。
どうにもならない恋の行方や。
実家の押し入れに放置されている恵比寿大黒様の置物までも。

まるで、隣で見ていたように。
全て、言い当てられてしまったのだ。


(恵比寿大黒様の置物なんて、うちにはないと思っていたが。
家に帰って押し入れを調べてみたら、ホントに出てきた! 恵比寿大黒様が!)

恵比寿様と大黒様。





幼い頃から、不思議な体験をしてきたまこでさえ。
総毛立つような、怖いくらいの圧倒的パワーを感じる。
強くて重いチカラ。
そして、深い深い慈愛。




この霊能者(お不動様)は「本物」だと確信してしまうと。
聞かずにはいられない。


母から、何か伝えたい事はありますか?


母の気持ちが知りたいのだ。
だって。
亡くなってから毎晩のように夢枕に立つ母は、多くの言葉を残してくれないのだから。



「旦那にな。頑固にならず、短気をおこさず。人の云うことはよく聞いて、と」

そして、優しくこう付け加えた。

「もう、あいだに立つ人がいないのだから」



そう。
まさしく生前から、母が父に対して心配していたことだ。
短気な父。
人付き合いがヘタな父。
ずっと母が仲介役になることで、何とか周りと上手くやってこられたのだ。


私には?
母は、私に伝えたいことはありますか?
何か欲しいモノは?
私にして欲しいことはありますか?


もう、質問が止まらない。
気付くと涙が溢れている。


聞いてくれ。
母に。

聞いてくれ!

母は幸せだったの?


そもそも。
母の一生は、幸せだったのだろうか?


まだまだ男尊女卑が色濃く残る時代。
見合い結婚で嫁いできて。
夫や子供のために、精一杯尽くした昭和の女性である。


本当は、会社勤めに憧れていたと、生前、本人から聞いたことがある。
綺麗な服を着て、電車に乗って。
思う存分、働いてみたかった、と。


だけど、時代の背景もあり。
両親も夫も許してくれず。
誰にも逆らわず、従順に生きてきた母。


なのに。
何も悪いことをしていないのに。
一瞬にして、全ての「生」を奪われたのだ。


母は、今、天国で何を望んでいるの?
私に出来る事は、ありますか?
あるなら、教えてください!










「今のところない」

お不動様が、シラと告げる。

「して欲しいことは、特にない」

つづく

コメント