第14柱 私の母さん神様『天の羽衣(あまのはごろも)』

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天の羽衣(あまのはごろも)。

夢枕に立つ母は、いつもステキな服を着ている。

ある時は、純白のドレス。
またある時は、上品な和着物。


生前は、自分のお洒落よりも、夫と子供達を優先するような人だった。
あちらの世界では、自分のお洒落を、存分に楽しんでいるようで、何だか嬉しい。



ある日、溶けるように薄く、眩い煌めきを放つ「衣(ころも)」を纏った母が、夢の中に現れた。
繭(まゆ)から作られた繊細な絹に似ているが、その圧倒的な美しさから、到底、この世の代物とは思えない。

これが「天の羽衣(あまのはごろも)」と云うモノなのか?
しゃらん、しゃらんと、柔らかく、唄うように揺れている。




たくさんの人達が関わって。

しゃらん、しゃらん。

あなたの人生を紡いでる

しゃらん、しゃらん。

強い糸を縒(よ)り合わせると、きっと絆になるでしょう。






あまりの美しさに、「それ、アタシも着たい!」と叫んだほどだ。
こんなに綺麗な服、映画でも、パリコレでも、見たことがない。


「あなたには、まだこちらの着物は早いのよ」

母が笑顔で言う。


どうやら、その服は「あちらの住人」しか着られないらしい。

むむ。
それなら。
もう少し、後にしようかな……。

母の親友。

数日後、母の親友のSさんが、突然、家にやってきた。
母の葬儀以来だが、「近くに来たから、ちょっとだけ、手を合わせたい」とのことだ。


Sさんは、とても優しく、品のある女性だ。
こういう素敵な人が母の親友だったと思うと、ちょっこり嬉しい。


少しの間、楽しく思い出話をし、そろそろ帰るわと腰を上げたSさん。
帰り際に、こう呟いた。


「Tちゃん(母の名前)、いっつも綺麗な服を着て、夢に出てくるのよねぇ」


え?
親友の夢枕にも、立っていたのね。


しかも、Sさんにも、綺麗な服、見せびらかしてたんかぁーい!


でもね。
それで、いいんだよ。


お母さん。
これからは、好きなだけ、お洒落を楽しんでね。


つづく

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